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−続・ガラス原料あれこれ(52)−
 
[無アルカリ・ガラス]

暑かった今年の夏もようやく終わろうとしています。
朝夕に涼しさを感じられるようになりました。
でも9月初めはまた暑くなる予報ですから、安心するのは早い!?

さて、今回のテーマは「無アルカリガラス」です。
久し振りに、ガラスのお勉強シリーズです。

これまで何回もお話しているように、ガラスを作るには
アルカリ=ソーダ灰や炭酸カリなどの原料が欠かせません。
主原料の珪砂=シリカはとても高温でないと溶融出来ないので、
アルカリの力を借りて溶融点を下げている、といったとらえ方
でいいと思います。

ところが、世の中には無アルカリガラスという物も存在します。
たとえば、液晶テレビの基板用のガラス。
ガラスの中にアルカリが含まれていると、液晶の成分に影響を
与えてしまうので、無アルカリのガラスが使われます。
では、どうやってアルカリなしでガラスを溶かすのでしょうか。

無アルカリガラスの組成はざっと、次のようなものです。(%)
SiO2:50、Al2O3:10、B2O3:15、RO:25
ROとはカルシウム(CaO)、バリウム(BaO)などの酸化物です。
ソーダの代わりにほう酸(B2O3)をたくさん使用しています。
でも、もともと液晶用のガラスは泡や平滑性の品質基準が非常に
きびしいですから、溶融はとても難しいようです。

また、液晶パネル製造時の大きさの単位で世代がどんどん移って行き、
現在は第8世代まで来ています。
これだと一枚の単位が2.2mX2.5mだそうです。
ということは、たたみ一畳よりももっと大きな無アルカリガラスに、
泡とかたわみなどの欠点が一つもないことが要求されるってことですよね。
まさに、ハイテク恐るべし!ですね。

無アルカリガラスはガラス繊維(長繊維)の世界でも使われます。
電気基板用のEガラスは耐候性と電気絶縁性、電気特性を上げる
ために無アルカリとなっています。
こちらのガラスの組成も、基本的には液晶用ガラスと似通っています。

このようにガラス素材はハイテク産業を裏でしっかり支えているのですね。
これから、ますますガラス素材の需要性は高まって行くと思います。
ガラスに携わる人間として、とても心強いことです。

今回はひさびさにお勉強シリーズでした。
そういえば、子供達も今週は夏休みの宿題の最後の追い込みですね。


 
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