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−続・ガラス原料あれこれ(54)−
 
[和色の色名(1)]

だいぶ秋めいてきました。
でも、都市部はまだまだ紅葉には程遠い状態ですね。
京都の紅葉の見頃は、最近は12月初めまで大丈夫だそうです。
温暖化、恐るべし。

さて、今回は和色の色名のお話をします。
当社の和色シリーズは、これまではキャスティング向け
のビレット・シリーズの淡い色を中心に展開してきましたので、
吹きガラス向けのフリット/ロッドの濃い色の和色は、赤紫系の
「蘇芳色」(No.19)しかありませんでした。
その後、第51回のこの「あれこれ」でもご紹介したように、
フリットでの和色の設定を準備してきました。
それでようやく、この度新たに何色か完成しました。
・ 鉄納戸(青系)
・ 抹茶色(緑系)
・ 紫苑色(紫系)
・ 利休茶(茶系)
の4色です。
これを機会に、それぞれの色名についてその色名の成り立ちや背景などを
このメールマガジンでご紹介して行きたいと思います。

今回は、「鉄納戸」をご紹介します。
この色はビレットでも設定がありますね。
「納戸色」とは藍染めの色の一つです。くすんだ緑みの青。
藍は江戸時代の着物には欠かせない色ですね。
納戸の暗がりの連想から、くすんだ藍色を納戸色と呼ぶとか、
納戸の前に置く垂れ幕がこの色だったとか諸説があるようですが、
詳しいことはわかっていません。
私自身は、藍染めの着物が納戸にずっと置かれていてだんだんくすんで
きた状態を連想してしまいますが。

「鉄色」は文字通り鉄のような暗い青緑の色ということですが、
現実の鉄って磨けばぴかぴか光るし、放って置けば赤錆で赤くなるし、
なかなかイメージが出てきません。
いずれにしても、深い黒味のある青というイメージでしょうか。
その「納戸色」と「鉄色」が合わさったのが、「鉄納戸」です。
結果としては、青みと緑みがある渋い藍色とでも表現したい色という
ことでしょうか。
いずれにしても、江戸特有の雰囲気をすごく感じさせてくれる色 だと思います。

江戸時代には、染色の原料も現代のように多種多様ではありませんでした。
また治世者側の制限という要素もあり、着物に使う色は藍色、茶色、鼠色など
地味な色が中心となっていました。
特に藍色は江戸の着物の定番色といっていいでしょう。
その藍色中心の中で、江戸時代の人は同じ藍色でもごく微妙な色合い、
風合いの違いを見分けて様々な色名を付けて区別していったのだと思います。
青〜藍色系の色をざっと挙げただけでも、「藍色」「御召茶」「藍鼠」
「高麗納戸」「青鈍」「深川鼠」「錆納戸」「花田色」「紺藍」など
非常にたくさんあります。

今回、この「鉄納戸」という色を和色シリーズの青系の一番バッターに
起用したのは、そのたくさんある藍系の色の中でも、この色がとても
江戸の雰囲気を表現していると思ったからです。
先日、現在江戸東京博物館で開催されている
「ボストン美術館浮世絵名品展」を観に行きました。
http://ukiyoeten.jp/
そこで展示されていた浮世絵でも、特に北斎、国政などの江戸後期の
浮世絵にはこの独特の藍色が印象的に使われていました。
琳派展も国立博物館でやっています。
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=5705
時代は、和に向かってます!
なんて、私だけ!?



 
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