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−続・ガラス原料あれこれ(90)−
 
[酸化エルビウムについて]
※(続・ガラス原料あれこれは当社のメールマガジンのバックナンバーです。)

10月も終わり、秋も深まる11月に入りました。
今年は朝晩こそ冷え込むようになりましたが
晴れの日の日中は20度を越える温かい(暑い?)日が多く、
東京では木々の葉もまだ青々としています。
残暑が長かったため全国的に紅葉の色付きが遅いようで、
平野部で紅葉が見頃となるのは関東地方が11月中旬から下旬、
関西地方は11月下旬から12月上旬頃とか。
冬に向けて寒くなるのは辛いですが、寒暖の差が鮮やかな
紅葉を作ってくれるので、ここはぐっと我慢ですね。
急な気温の変化で風邪などひきませぬよう。

さて、今回のテーマは「酸化エルビウムについて」です。
以前も何度かお話しましたが、酸化エルビウムはガラスに
きれいな淡いピンク色を与える着色原料です。
発色も安定しており、溶解炉内の雰囲気(酸化雰囲気・
還元雰囲気)にも左右されないので、例えば当社の
工芸作家様向けバッチ、Aスキにそのまま入れるだけで
きれいなピンク色のガラスができます。

また、ガラス原料の中に不純物(鉄分)が多いと
ガラスがうっすらと緑みや青みをおびます。
窓板ガラスの断面を横から見ると緑色に見える
あれです。その鉄分が多いガラスに酸化エルビウムを
少量添加すると、緑とピンクが打ち消しあって
鉄分の色が目立たないガラスができます。酸化エルビウムは
このように消色剤としても使われています。
(他にも消色剤として酸化コバルトや酸化ネオジム、
二酸化マンガンなどの原料が使われ、ガラスの性質に
合わせていくつか組み合わせて添加される場合が多いです。)

良いことずくめの酸化エルビウムですが、欠点も
あります。ひとつは着色力があまり強くないため、
濃いピンクのガラスが作れないということ。
どんなにたくさん添加しても一定の濃さ以上のピンクには
なりません。
そして、もうひとつは非常に高価な原料であるということです。

昨年から世界でも大きな話題となっているレアアースの高騰は
皆さんの記憶にも新しいと思います。
酸化エルビウムはそのレアアースの一つです。
価格はみるみる上がり一時期は昨年の10倍を超え、
夏頃にはついに毎日価格が変動し、先の見通しが
つかない状況が続いていました。
当社のサングラスバッチにもレアアースが使われており、
価格の高騰に伴い今年は数回に渡りバッチ価格の改定を
させて頂きました。皆様にはご理解頂きまして本当に
ありがとうございました。

現在、酸化エルビウムの価格は少し落ち着きを
取り戻しつつあります。
そこで、価格が落ち着いた分、バッチ価格の値下げを
実施することになりました。
対象は酸化エルビウムを使用しているバッチ全てです。
本日、11月1日から実施させて頂きます。
工芸作家様向け汎用バッチの値下げ額はこちらをご覧下さい。
http://www.santoku-kogyo.co.jp/news/20111101down.htm
また、汎用以外のバッチについては各営業担当に
お問い合わせ下さい。
今後も原料価格の変動には臨機応変に対応して行きたいと
考えていますので、よろしくお願い致します。

エルビウムのピンクはきれいで可愛らしいですが
やはり秋は鮮やかな赤・黄色のコントラストが
見たいですね。しまってあったコートを出して
寒さに備えつつ、木々が色付くのを楽しみに
待ちたいと思います。


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