Backnumber
−ガラスの用語集(2)−
[ ガラス状態 ]
ガラスの定義(!?)という問題です。あまり触れたくなかった(^^;;)。とまあ、冗談ですが、それくらいむずかしい 定義です。学術書によると、ガラスの定義は
「溶融物を結晶化することなく冷却固化させて得られる非晶性の無機材料」
ということになります。要するに、過冷却された液体みたいなものだというのです。
水なら、冷やせば氷になりますね。「氷」は水の結晶したかたちです。水の分子が互いにしっかり結びついて、 整然と並んでいる状態(結晶質)。で、「水」は水の分子が結晶を作らないで、ゆるやかに結びついている状態(非晶質)。 で、ガラスの場合も、溶融している状態から、冷却されて本来結晶になるところを、そうはならずにいわば 水の状態(非晶質)のまま固まってしまったものといえる訳です。
だからこそ、ガラスは、分子の結びつきがゆるやかということで、透明で、しかも表面が滑らかになる訳です。
ガラスの構造については、さらに踏み込めば、網目構成イオンとか網目修飾イオンなどというさらにややこしい話に 発展してしまいますので、ここでは割愛します。ふーっ。
[ 失透 ]
文字通り、ガラスが透明さを失うことです。なぜ、透明でなくなるのか?。上の項目で述べたように ガラスは非晶質の状態です。結晶を形作っていないのが、本来のかたちです。ところが、溶融状態から ガラスが冷却されて固まっていく際に、結晶が析出して透明さを失う現象のことを、失透と呼びます。 固まりつつある温度域を長い時間保ったりすると、結晶化を起こすことがあるのです。
失透を起こしやすい温度域はガラス組成にもよりますが、約1000℃前後です。ガラスの粘度(ポワズ)で いうと、10
3
〜10
8
あたりの状態で、失透が起こりやすくなります。この温度域を
失透域
と呼びます。失透傾向は、ガラス組成によっても、変化します。アルミナ(Al2O3)や、硼酸(B2O3)は 失透をある程度防止します。
具体的に失透を防ぐには、ガラスを再加熱する際、あまり長時間同じ温度を保たないことが必要です。 あとで述べる硬質ガラスをバーナーで熱加工する場合、よく失透現象が起こります。
[ 結晶化ガラス ]
いま述べた失透現象を積極的に利用したのが、結晶化ガラスです。ガラスの中に意図的に結晶を析出させた ガラスです。結晶を作ることによって、さまざまな利点があります。たとえば、熱膨張が低くなります。 それにより耐熱度が増します。火にかけられるガラス食器にこの結晶化ガラス(商品名でパイロセラム、ネオセラムなど)が よく使用されます。また機械的強度や、本来の耐熱度(軟化点)自体も高めます。
このように結晶化は、従来のガラスと違った様々な特性を持つガラス(いわゆるニューガラス) を作るひとつの方法となっています。
[ 硬質ガラス(耐熱ガラス) ]
熱膨張の項目でお話した通り、ガラスは組成によって熱膨張の度合いが変わります。それで、熱膨張が 低いほど、熱の変化に対してガラスの伸び縮みが少なくなるので、熱変化に強いガラスとなります。 これを
硬質ガラス
と呼びます。硬質ガラスは別に表面の硬度が固いとかいう意味ではなく、 温度変化に強いという意味で、「硬質」と呼ぶ訳です。
この温度変化に強いいわゆる耐熱ガラスには、結晶化ガラスや石英ガラスもありますが、一般的には 硼珪酸ガラスが中心となります。硼珪酸ガラスは硼砂の項目でもお話したように、ソーダの代わりに 硼酸(B2O3)を添加したガラスです。代表的な硬質ガラスとして、パイレックスで膨張係数がα=33前後です。 おおよそですが、膨張係数がα=60ぐらいまでのガラスを硬質ガラスと呼びます。
[ ガラス成分の安全性 ]
ガラスは安全
なのですか?。最近、よくこういう質問を受けます。昨今よくプラスチックの添加剤が問題になるように、ガラスの中にも有害物質が含まれていないか、大丈夫かという意味でしょう。答えはイエスとも言えますし、ノーだとも言えます。
環境問題全体の論議にも通じるのですが、つきつめてしまえば、まったく安全なものなんてこの世に存在しないのではないでしょうか。 要は程度問題、使い方次第だと思うわけです。ガラスの成分の中にも一部有害なものもありますが、それらは非常に微量であり 問題になるほど溶け出すことはありません。
その場合、一番俎上に上がりやすいのは、
鉛
です。ご承知の通り
鉛クリスタル・ガラス
の場合、 鉛が
酸化鉛(PbO)
の形で8%〜24%程度含まれます。しかしガラスの中に成分として入っている場合、この鉛がどんどんガラスから 溶け出すということはありません。しかし、まったくゼロでもありません。それを管理するために、
食品衛生法
でしっかり基準は 設けられています。くわしい試験方法は省略しますが、一定の試験方法に基づき検査され、その規格内に合格したものが、つまり 普通に使用して人体に悪影響を与えないと判断されたものが、一般消費者のもとに届けられているという訳です。
ガラスの性質上、ガラスの種類によってはその他にも劇物に属するような原料が使われる場合もありますが、すべて溶融され ガラスになった場合には、安全なものになるといえます。もちろん、何度も言うように程度問題で、そのための規格値というものが あるわけですが。ガラスはいったん成分として入ったものは、外へ溶け出すということはあまりありません。 だって、放射性廃棄物の処理(封じ込め)にガラスが使われるぐらいですから。
当社は、鉛フリーのAスキというグラスバッチも製造しております。これは鉛を使用しなくても、クリスタルの輝き を持つガラスは作れるということであって、鉛クリスタル・ガラスを否定するものではありません。 いずれにしても、このガラスの安全性というのは、とってもむずかしい問題であることは間違いありません。
HOME
|
会社概要
|
全国ガラス工房案内
|
ガラス原料あれこれ
|
メルマガ受付
|
イベント案内
|
リンク集
|
工房求人コーナー
|
お問合せ
|
サイトマップ
|
プライバシーポリシー
ガラス工芸に関する商品や消耗品、ガラス製品のショッピングサイト。
ガラス全ての元となる「サン・グラスバッチ」の製造販売をしています。
ガラス化したもの(フリット、ロッド、ビレット)の製造販売をしています。