[赤と黄色とその中間]
11月も、もうすぐおしまい。 今年は紅葉が遅くやきもきしましたが(誰が?) ようやく、京都の紅葉も本番を迎えたようです。
紅葉っていいですね。 特に、重なり合うもみじ(楓)の紅葉した葉を下からかざす ように見上げた時に、一段とその美しさは増す気がします。 ガラスの色も、基本的に透過光で見るのが一番きれいというのと 似ていますね。 その微妙な色合いは赤から黄色にかけての無限のグラデーションです。
今回のテーマは「赤と黄色とその中間」です。 その中間がいいんですよねぇ。 さて、ガラスを赤とか黄色に着色させる原料はいくつかあります。 代表的なのは、セレンとカドミを使ったセレン赤とカドミ黄です。 この「ガラス原料あれこれ」の最初の頃にも紹介しました。
http://www.glass-kougeihiroba.jp/arekore/index03.html 要するにセレン赤(CdSe)とカドミ黄(CdS)の 混ざり具合で真っ赤になるか、黄色になるか、あるいは真ん中の オレンジになるかということになります。 また、原料のファクターだけではなく、 溶融状態や成形時の加熱具合によっても色は変化します。 基本的には早く冷めると赤が薄くなり、黄色味が強くなります。 このことを利用しているガラスがあります。 沖縄ガラスでよく見られる下が赤で口の部分が黄色のコップは この現象を利用したものです。同じガラスですが、口の部分を 早く冷めさせることによって、黄色っぽくします。
ところが、最近の環境意識の高まりから、セレンやカドミが少し 問題視されるようになってきました。 何度もこのコラムで申し上げていますが、ガラスはとても安定な物質です。 中の成分を安定的に閉じ込めておけます。放射能物質の最終処理にも 使われるぐらいですから。 このセレン赤とかカドミ黄のガラスでも、中の成分は安定していますから 外に大きく溶け出すということはありません。 赤や黄色に着色させる原料は他にもあります。 赤では、塩化金を使った金赤(きれいなルビー色)や、銅を使った 銅赤(少し暗い赤)などがあります。 黄色では、チタンとセリウムを使ったセリウム黄などがあります。 ただ、赤から黄色へのグラデーションは出来ません。 悩ましいところです。 環境問題はきちんと意識しながら、その材料が実際に及ぼす影響を 冷静に評価し、過剰反応せず適宜対応していくというのが、 大切なのではないでしょうか。
今回は、紅葉の話でした。いや違うか!? 週末は晩秋の京都にいざ。
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