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−続・ガラス原料あれこれ(43)−
 
[赤と黄色とその中間]

11月も、もうすぐおしまい。
今年は紅葉が遅くやきもきしましたが(誰が?)
ようやく、京都の紅葉も本番を迎えたようです。

紅葉っていいですね。
特に、重なり合うもみじ(楓)の紅葉した葉を下からかざす
ように見上げた時に、一段とその美しさは増す気がします。
ガラスの色も、基本的に透過光で見るのが一番きれいというのと
似ていますね。
その微妙な色合いは赤から黄色にかけての無限のグラデーションです。

今回のテーマは「赤と黄色とその中間」です。
その中間がいいんですよねぇ。
さて、ガラスを赤とか黄色に着色させる原料はいくつかあります。
代表的なのは、セレンとカドミを使ったセレン赤とカドミ黄です。
この「ガラス原料あれこれ」の最初の頃にも紹介しました。
http://www.glass-kougeihiroba.jp/arekore/index03.html
要するにセレン赤(CdSe)とカドミ黄(CdS)の
混ざり具合で真っ赤になるか、黄色になるか、あるいは真ん中の
オレンジになるかということになります。
また、原料のファクターだけではなく、
溶融状態や成形時の加熱具合によっても色は変化します。
基本的には早く冷めると赤が薄くなり、黄色味が強くなります。
このことを利用しているガラスがあります。
沖縄ガラスでよく見られる下が赤で口の部分が黄色のコップは
この現象を利用したものです。同じガラスですが、口の部分を
早く冷めさせることによって、黄色っぽくします。

ところが、最近の環境意識の高まりから、セレンやカドミが少し
問題視されるようになってきました。
何度もこのコラムで申し上げていますが、ガラスはとても安定な物質です。
中の成分を安定的に閉じ込めておけます。放射能物質の最終処理にも
使われるぐらいですから。
このセレン赤とかカドミ黄のガラスでも、中の成分は安定していますから
外に大きく溶け出すということはありません。
赤や黄色に着色させる原料は他にもあります。
赤では、塩化金を使った金赤(きれいなルビー色)や、銅を使った
銅赤(少し暗い赤)などがあります。
黄色では、チタンとセリウムを使ったセリウム黄などがあります。
ただ、赤から黄色へのグラデーションは出来ません。
悩ましいところです。
環境問題はきちんと意識しながら、その材料が実際に及ぼす影響を
冷静に評価し、過剰反応せず適宜対応していくというのが、
大切なのではないでしょうか。

今回は、紅葉の話でした。いや違うか!?
週末は晩秋の京都にいざ。


 
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