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−続・ガラス原料あれこれ(74)−
[ガラスの歪と徐冷]
※(続・ガラス原料あれこれは当社のメールマガジンのバックナンバーです。)
梅雨の真っ最中ですね。
九州の豪雨も心配です。
ワールドカップのジャパン・チームは惜しかったです。
でも健闘をたたえたいですね!
さて、今月のテーマは「ガラスの歪と徐冷」です。
「歪」は「ひずみ」と読みます。
ガラスはその性質上、どうしても成形時にガラスの中に
歪が残ります。そのままにしておくと、割れたりして危険ですので
必ず歪を取る行程が必要です。
この行程を「徐冷」(徐々に冷ます。「じょれい」。)といいます。
この徐冷という行程は、成形時にガラスに入った歪を取るために
ガラスをいったん徐冷点(わかりやすく言えばガラスの中の歪を
取る最低温度。Aスキの場合には480℃)以上に温度を
上昇させて、それから徐々に冷やしていって、ガラス内部の
歪を取り除いてあげるという作業です。
そもそも何故ガラスの中に歪が発生するのか?
これは、ガラスが冷めていく時に、表面と内部が
冷め方が違うために、先に固くなった部分と遅れて
固まった部分の間で引っ張りや圧縮の応力が残って
しまうからなのです。
ですからガラスの厚みが厚いほど、歪も発生しやすく
なります。また、コップの取っ手などを付けた場合も
歪は発生し易くなります。
徐冷は、「レアー」という連続式の徐冷炉か、「止め冷まし」という
固定式の徐冷炉によって行います。
その場合に、炉内の温度が高すぎれば、せっかく成形した
ガラスの形が崩れますし、逆に低ければ、中の歪がうまく
取れません。
徐冷の温度は一応ガラスの徐冷点を目安にしますが、
炉内の温度分布が必ずしも一定でない場合が多く
温度計をうのみにするのは危険です。
実際のガラスの温度と温度計の表示した温度には、
必ず差があります。
ほとんどの場合、徐冷炉の温度計の示す温度よりも
徐冷炉内のガラスの温度の方が低いことが多く、
温度計を徐冷温度に設定していると、温度が低く
十分に徐冷されないことがあるようです。
それから、「徐々に冷やす=ゆっくり冷やす」の冷やし方も
難しい問題です。出来るだけ時間をかけてゆっくり冷やす
のがベストです。特に大きなガラス、厚みのあるガラスは
徐冷に時間をかける必要があります。
硬質ガラス(=低膨張ガラス)の場合にも、歪は残ります。
ただガラスの伸び縮みが少ない分、目立ちにくいだけです。
このように、ガラスは歪がとても残りやすい、という認識を
あらためて持って頂いた方がいいと思います。
ガラスに残った歪を検査するには、ガラス歪検査機という
とても便利な機械もあります。
この機械は、偏光フィルターを使用しており、原理は複雑ですが、
要するに、歪があるとガラスの中の光の通り方が変化するという
ことです。
興味のある方は、当社でも販売しておりますので、販売担当に
お声を掛けて下さい。
今回はガラスの歪と徐冷のお話でした。
ガラスの歪は、徐冷することで取れますが、世の中の歪は
なかなかなくなりませんね。
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