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−続・ガラス原料あれこれ(79)−
 
[レアアースについて]
※(続・ガラス原料あれこれは当社のメールマガジンのバックナンバーです。)

今年の夏は暑かった分、鮮やかな紅葉をもたらして
くれました。
今年は数年振りの紅葉の当たり年と言っていいでしょう。
今、京都は真っ赤です!

さて、今月のテーマは「レアアースについて」です。
例の問題が起こって以来、中国からの輸出が止まっている
品物がいくつかあります。
その一つが「レアアース」と呼ばれる原料です。
「レアアース」、日本語ではそのまま「希土類」と呼ばれている
原料の中には、セリウム、ネオジム、エルビウム、ランタン、
プラセオジムなど、ガラス原料(酸化物として)に欠かせないものが
いくつもあります。
セリウムは黄色などの着色に使用するほか、研磨剤としての
用途も大きいです。
ネオジムは独特の青みの着色材の以外に、磁石材料(むしろ
こちらが産業的には重要)に使われます。
エルビウムも安定したピンク色の着色に欠かせません。
ランタンは光学ガラスの大事な主要原料です。

これらの原料を、世界的にほぼ中国一国に頼ってきました。
希土類という言葉からすれば、資源的にあまり豊富ではない
ように思われますが、実は希土類は地球上に豊富に存在しています。
何も産地は中国だけではないのです。
(一方、レアメタルは実際に資源的に限られた金属です)
ただ地中の含有量が低いことなどで、採掘、抽出のプロセスの中で
どうしても環境汚染を引き起こしやすいことや、労力をたくさん
必要とすることで、人件費が低い中国でこれまで集中的に生産されて
きたという経緯があります。

今回の事態は、そんな中国の、彼らからすれば不当に安く売られてきた
現状を変えたいという思惑や、あるいは政治的な道具に使おうとする
意図が引き起こしたことでしょうが、産業界としてはたまったものでは
ありません。
レアアースはほぼ2ヶ月間輸出が止まったままです。
最近ようやく、船積みが開始されそうな様子ですが、まだ
現時点で定かではありません。
当社は、今回の騒動が始まる数ヶ月前から、原料をいくらか
確保しました。その時点ですら既に価格は年初の倍以上に
上がっていましたが。
現在はモノ自体が入ってこないので、価格は付けようがない
状態です。

そのような状況の中、やむなく今回、キャスティングビレット
の中のレアアースを使用した品目について、価格の値上げの
お願いをせざるを得なくなりました。
その値上げの計算ベースとさせて頂いた原料価格は、数ヶ月前に当社が
何とか手当てした時点の価格であって、現状の高騰した価格ではありません。
何卒、ご理解を賜りたいとお願いする次第です。

幸い、レアアースのガラスに対する添加量はそれほど多くありません
し、いくらかは手元に在庫していますので、パニック心理による買い急ぎ
などがない限り、当面お客様にご迷惑をかけることはないと思います。
この異常な状態がずっと続くこともないでしょうし、代替産地の開発も一気に
進み始めました。
状況が落ち着いて、価格が元に戻ればもちろん価格は訂正させて頂きます。

今回は少しゆううつなお話でした。

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