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−続・ガラス原料あれこれ(19)−
 
[ガラスも枯れる!?(消色)]

さて、今回のテーマは「ガラスも枯れる!?」です。
ガラスは見たところ半永久的な物に見えますが、
実は少しずつ経年変化を起こすのです。

ガラスの経年変化の一番身近なケースはガラス表面の曇りです。
これはガラスの成分であるアルカリ分がガラスの表面に出てくる
(アルカリ溶出と呼びます)ことによって起こるものです。

アルカリ分(ナトリウムやカリ)は、ガラスを溶融する
際に溶けにくい珪素(SiO2)を溶かすのに重要な成分ですが、
こうやってあとで溶出してくることがあります。

この曇りは洗うことで、簡単に表面から取り去ることが出来ます。
ガラス食器は、使う前に必ず洗うことをおすすめします。
アルカリは体にまったく害はないですが、味が変わったら
困りますから。

以前に述べた硬質ガラスでも、アルカリは通常のガラス(ソーダ石灰ガラス)
の1/3は含まれていますので、顕著ではないですが、アルカリ溶出による
経年変化は起こります。

さて、液晶TVで使われているガラス基板には、このアルカリは含まれておりません。
このようなガラスを無アルカリ・ガラスと呼びます。
液晶はアルカリと反応して、性能が変わってしまうので、
液晶用のガラス基板は、アルカリを添加しない(出来ない)のです。
ですから、ガラスの溶融は非常に難しくなります。
溶けにくいですし、泡も切れにくくなります。
しかし、泡は大きな欠点となりますので、ガラスメーカーも大変です。

あと、ガラスの経年変化としては、以前この
でもご紹介した、ソラリゼーションという現象もあります。
これは太陽光線などの影響でガラスの色調が変化する現象です。
http://www.glass-kougeihiroba.jp/arekore/index11.html

それから、古代ガラスの表面に見られる「銀化」も
このアルカリの溶出が主な原因で起こると考えられています。
銀化ガラスは、表面が銀色や虹色に輝き大変美しいものです。
1000年以上の時を経ると、ガラスも大きく変化するのですね。

以上、今回は「ガラスも人も枯れる」というお話でした!?


 
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