[赤と黒と白]
9月も、もうすぐ終わりというのに、今年はなかなか涼しく なりませんね。 来週から衣替えだというのに。
さて、今回のテーマは「赤と黒と白」です。 「赤と黒」と言えば、スタンダールの小説「赤と黒」が 思い起こされます。この場合の赤は軍隊、黒は聖職者でした。 赤と黒と白は、基本中の基本の色ですね。 当社のガラス素材であるサン・グラスフリットでも 赤も黒も白(ギョク)もそれぞれ設定があります。 一方、現在のサン・グラスビレットの中では、白は オパールが白に相当します。 また赤は、ゴールドルビーを焼成すれば金赤色となります。 ですが、黒は現在のところ設定がありませんので、 ビレットの黒の設定を検討中です。
黒という色は、要するに色んな着色原料を混ぜ合わせれば、 黒に近い色になります。 しかし、何色にも寄らない完全な黒というのはなかなか難しいのです。 フリット・シリーズの黒も、どんどん薄く伸ばしていけば、 くすんだ藍色のような色になります。これは黒の宿命とも言えます。 黒は、本来無彩色ですから、どんどん薄くしても薄墨のように 無彩色であり続けなければなりません。 しかし、現実には着色原料の濃淡がどうしても出てくるので、 「何かの色」になってしまうのです。 このことは、灰色(グレー)の場合にも言えることですが。 それから、黒を濃くしようとしてあまり着色原料を入れすぎると、 ガラスとしてもろくなったり、溶融性が悪くなったり、 さらにガラスとしての安定性も悪くなります。
ビレット・シリーズでの黒の場合には、薄く伸ばすことはあまり 想定する必要がないので、フリットほど濃くする必要はありません。 逆にビレットらしい、少し表面に透明感のある黒が求められる と思います。その中で、出来るだけどの色にも寄らない無彩色の 黒を実現させたい訳です。
当社は、ビレットシリーズで日本の伝統色を再現した「和色」 シリーズを現在展開して、微妙な色遣いを表現しようと 思っていますが、やはり基本色をしっかり押さえていくことも 重要なことです。 以前にも書きましたが、我々のガラス素材は、ガラス作家の 方々にとっての絵具のような存在であるべきですから。 フリット・シリーズ、ビレット・シリーズどちらも今後とも 充実させていくつもりです。
言い忘れました。「黒と黄色」は阪神タイガースです。 今年は、最後まで頑張りましたが、残念です。
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