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−続・ガラス原料あれこれ(68)−
[バッチ溶融マニュアル]
※(続・ガラス原料あれこれは当社のメールマガジンのバックナンバーです。)
今年もあと数日でおしまいです。
2009年という年は「未曾有の大不況」という言葉が、
さらに景気の大停滞を生むという最悪の年でしたが、
ここへ来てすこしずつ回復のきざしも見えてきました。
今回のテーマは「バッチ溶融マニュアル」です。
以前から、Aスキを初めとする当社のバッチについての
マニュアルはないかというお問い合わせが良くありました。
当社は基本的に原料の製造のメーカーであり、溶融するノウハウ
については、ガラスを製造するサイドのかたのほうがはるかに
詳しいのではないかという思いもあり、これまでは、あえて
当社ホームページにも掲載することを見送ってきました。
さらに、ガラスの溶融は使用する窯(炉)によっても、また
ガラスの成型方法など、色んなファクターがからみますので、
一概にマニュアルという形で提示するのが難しいという側面
もありました。
しかし、皆様からのご要望を多く、以上のことを考慮しながら、
一つのごく標準的なかたちとしての「バッチ溶融マニュアル」を
近々アップさせて頂くことになりました。
詳しくは、そのページをご覧頂きたいと思いますが、
バッチを溶融する際に何より大事なことは、
とにかく溶融温度を「パッと上げて、パッと下げる」ということです。
なるたけ高温で溶融し、完全にガラス化したら今度は出来るだけ
速やかに温度を下げるということです。
そうすることが、泡もブツもなく均一で透明なガラスを得る一番の
近道です。
さらに、もうひとつ大事なことは溶融したガラスをいつまでもルツボ
の中でそのままにしておかないということです。
溶融状態にあるガラスの表面からは、一部成分(特にアルカリや
ホウ素など)がどんどん揮発しています。
それをずっと放置しておくと、ガラスの主成分であるシリカ(SiO2)
の比率が高くなってしまい、シリカを主体とした結晶物がガラスの
表面にたくさん出来ます。
この結晶物はちょっと見ると、まるで、砂粒が溶け残ったように見える
のでバッチの溶け残り(ブツ)と誤解されやすいのですが、
ほとんどの場合いったん溶けたガラスから生まれた生成物なのです。
また、ルツボに残ったガラスはどんどんルツボの表面を侵食して、
ルツボ成分(主にアルミナ成分)がガラスの中に溶け出して
きます。
ですから、ツボに残ったガラスは、出来るだけいったんツボから
掻い出して、カレットにして再度バッチと一緒に投入するのが
好ましいのです。
その作業を毎日するのが大変であったとしても、少なくとも
週に一度はツボのガラスを全部掻い出すという作業は行うべきなのです。
江戸っ子じゃないですが、「宵越しの銭は持たねぇ」ではなく、
「宵越しのガラスは良くない」ということなんです。
きれいに溶融されたガラスを安定的に得るというのは、とても
難しいことです。
そうするためにクリアしなければならないファクターは
とてもたくさんあると思います。
今回のマニュアルにはそのために必要な手順を出来るだけ
織り込んだつもりですが、それがすべて、絶対ということでは
ありません。
ガラスを溶融される一人一人のかたが自分自身のマニュアルを
作り上げて頂くための、一つの目安ぐらいに考えて頂ければと
思います。
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